頑張るのをやめたら、続くようになりました
環境のために何かしようと思って、うまくいかなかった経験はありませんか。
私たちは何度もあります。
買い物袋を持ち歩こうと決めて、三日後には忘れていました。
ごみを減らそうと意気込んで、いつも通りの量に戻っていました。
調べれば調べるほど、自分の暮らしのすべてが間違っているような気がしてきて、そのうち調べるのをやめてしまいました。
今振り返ると、失敗した理由はわりとはっきりしています。最初から、高すぎるところを目指していたのです。
環境のことを真面目に調べていくと、正しいとされる行動のハードルがどんどん上がっていきます。あれも避けたほうがいい、これも見直したほうがいい。ひとつひとつは納得できるのに、全部を同時にやろうとすると、暮らしが立ち行かなくなります。
そして、立ち行かなくなると、人はやめます。やめたあとには、少しの罪悪感だけが残ります。
これは、あまり良い結果ではありません。一年だけ完璧にやってやめてしまうより、六割の出来でも十年続けたほうが、積み上がる量はずっと大きいからです。
ですから今日は、頑張らない前提で書きます。意志の力に頼らず、忘れても大丈夫で、やめても再開できる。そういう「ゆるいサステナブル」の考え方と、私たちが実際に続いている習慣をいくつかご紹介します。
ゆるく続けるための、たった一つの原則
具体的な話に入る前に、前提をひとつだけ共有させてください。
続く習慣と続かない習慣を分けているのは、意志の強さではありません。仕組みになっているかどうかです。
「気をつける」という形の習慣は、ほぼ確実に続きません。気をつけるには、覚えていなければならず、判断しなければならず、毎回少しの気力を使います。疲れている日には、真っ先に抜け落ちます。
一方で、「その場所にあるから自然にそうなる」という形の習慣は、忘れても勝手に機能します。頑張らなくても続くのは、こちらだけです。
ですからこれからご紹介することは、どれも「気をつける」ではなく「置き場所を変える」「一度だけ設定する」といった形にしてあります。最初に少し手を動かせば、あとは放っておいても続くものを選びました。
冷蔵庫の「まず見る場所」を決めました
食べものを捨ててしまう原因の多くは、買いすぎではなく、忘れることだと私たちは考えています。
奥に押し込まれたものは、存在ごと意識から消えます。そして気づいたときには手遅れになっています。ここでも、意志ではなく配置の問題です。
そこで、冷蔵庫のなかに一か所だけ「先に食べる場所」を決めました。早めに使ったほうがいいものを、買ったときにそこへ移す。料理をするときは、まずそこを見る。それだけです。
場所はどこでも構いません。扉を開けていちばん目に入るところなら、それで十分です。空の保存容器をひとつ置いて、そこに入れるようにしてもうまくいきます。
この習慣の良いところは、思い出す必要がないことです。毎回同じ場所を見るだけなので、覚えておく負担がありません。
似たやり方として、買い物に行く前に冷蔵庫の写真を一枚撮っておく、というのもあります。店で迷ったときに見返せば、同じものを二重に買わずに済みます。記憶に頼らないという点で、考え方は同じです。
「保留する場所」をつくりました
欲しいと思ったものを、すぐに買わないようにするための工夫です。
我慢しようと決めるのではありません。我慢は苦しく、長くは持ちません。代わりに、いったん置いておく場所を用意します。
買い物かごに入れたまま注文しない。欲しいものをメモに書いておく。気になった画面を保存しておく。方法はなんでもよいのですが、「買わない」ではなく「まだ決めない」の状態を作るのが要点です。
そして、しばらく経ってから見に行きます。数日後でも、週末でもかまいません。
やってみると分かるのですが、見返したときに気持ちが残っているものは、そう多くありません。半分くらいは、なぜ欲しかったのか自分でも分からなくなっています。その一方で、時間が経っても欲しいものは、はっきり欲しいままです。
この方法の良いところは、欲しいものを諦めなくて済むことです。時間が選り分けてくれるので、自分で判断して我慢する必要がありません。そして、時間を置いてなお欲しかったものは、手に入れたあとも長く使える確率が高いように感じています。
手入れの方法を、買ったときに調べました
長く使うためにいちばん効くのは、丈夫なものを選ぶことよりも、手入れの方法を知っていることだと私たちは思っています。
多くのものは、壊れて捨てられるわけではありません。汚れて、手の打ちようが分からなくなって、なんとなく使われなくなっていきます。
ですから、何かを手に入れたときに一度だけ、洗い方や保管の仕方を調べておきます。調べるのは一回で済み、その知識はそのものを使い続けるあいだずっと効きます。
タグや説明書を捨てる前に一度見ておくだけでも構いません。素材が分かっていれば、あとから調べることもできます。
汚れたり傷んだりしたときに「直せるかもしれない」と思えるかどうかで、手放すまでの年数はかなり変わります。
使い切ることを、ひとつだけ意識してみました
最後は、少し気持ちの話に近い習慣です。
何かを新しく買う前に、いま持っているものを最後まで使い切ってみる。対象は、ひとつだけで構いません。全部やろうとすると続きません。
ひとつでいいので、終わりまで付き合ってみる。すると、そのものがどこで力尽きるのかが分かります。思っていたより長く持つこともあれば、意外に早く駄目になることもあります。どちらにしても、次に選ぶときの判断材料になります。
そしてもうひとつ、最後まで使い切ったものには、なぜか少し愛着が残ります。この感覚は、何かを選ぶときの基準を、ゆっくり変えていくように思います。
続けるために、やらなくていいこと
ここまでいくつかご紹介しましたが、全部やる必要はまったくありません。
読んでいて「これはできそう」と思ったものが、もしひとつでもあれば、それだけで十分です。ひとつが定着してから、次を考えればよいと思います。
そして、途中でやめてしまった日があっても、気にしないでいただきたいのです。
続けようとするときにいちばん危ないのは、忘れたことを気に病んで、そのまま全部やめてしまうことです。一度忘れたら終わり、という考え方でいると、必ず終わります。忘れても、次の日から何も言わずに再開すればよいのです。
環境のための行動が、暮らしを苦しくするものになってしまったら、たぶんどこかが間違っています。少し楽になった、少し気分がいい、そのくらいの感覚で続けられるものを選ぶほうが、結果として長く残ります。
私たちも、途中にいます
こうした記事を書いていると、さぞきちんとやっているように見えるかもしれませんが、そんなことはありません。
私たち自身、事業をしながら多くのものを捨てています。お届けの際の梱包についても、見た目のために使っていた資材を見直し、置き換えられる部分から紙素材に替えてきましたが、まだ手をつけられていない部分が残っています。代わりになるものを見つけられていない、というのが正直なところです。
そのあたりの現状については、できていないことを中心にまとめた記事が別にありますので、よろしければそちらもご覧ください。
完璧になってから語ろうと思っていると、たぶん永遠に語れません。ですから、途中の状態で書いています。
お互い、六割くらいの出来のまま、長く続けていけたらと思っています。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

