朝の一杯のコーヒーや、仕事の合間にほっと一息つくときのチョコレート。私たちの日常にそっと寄り添うこれらの幸せが、実は地球の裏側の「元気な森」を育てる鍵になっているとしたら、素敵だと思いませんか?
今回は、サステナブルな未来のキーワードとして世界中で注目されている「アグロフォレストリー(森林農法)」について、コーヒーやカカオの身近な例を交えながら、分かりやすく紐解いていきます。
アグロフォレストリーってなに?
アグロフォレストリー(Agroforestry)とは、農業(Agriculture)と林業(Forestry)を掛け合わせた言葉で、日本語では「森林農法」とも呼ばれます。
ひとことで言うと、「森を切り開いて畑にするのではなく、森そのものを畑にしてしまおう」という、自然のシステムに逆らわない、とても賢くて優しい栽培方法です。
一般的な近代農業では、広大な森を丸ごと伐採し、ひとつの作物だけをズラリと植える「単一栽培(モノカルチャー)」が主流でした。しかしこれでは土が痩せてしまい、大量の化学肥料が必要になったり、野生動物の住処が奪われたりしてしまいます。
これに対してアグロフォレストリーは、もともとある森の環境をそのまま活かし、さまざまな種類の樹木や作物をモザイクのように一緒に育てていきます。
コーヒーとカカオは「おひさまが苦手」?
なぜコーヒーやカカオがアグロフォレストリーにぴったりなのか。その理由は、彼らの「生まれ故郷」にあります。
実は、コーヒーの木もカカオの木も、もともとは熱帯雨林の大きな木々の陰でひっそりと育つ植物でした。つまり、直射日光(強いおひさま)が少し苦手で、適度な日陰(シェード)を好む性質を持っています。
アグロフォレストリーの畑では、コーヒーやカカオの周りに、それらよりも背の高い別の木々を一緒に植えます。これを「シェードツリー(日陰を作る木)」と呼びます。
例えば、こんな風に組み合わせて育てられます。
- 一番高い層: バナナ、アボカド、マンゴー、ナッツ類などの背の高い果樹
- 中間の層: 日陰が大好きなコーヒーやカカオの木
- 地面に近い層: 生姜やウコン、バニラなどのスパイス類
まるで自然のジャングルそのもののような「多層構造」を作ることで、木々がお互いを守り合い、肥料に頼らなくても土が自ら栄養を蓄える豊かな循環が生まれます。
地球にも、人にも、最高の「3つのメリット」
この森のような畑は、私たちの暮らしや地球環境にたくさんの素晴らしいギフトをもたらしてくれます。
1. 動物たちが帰ってくる(生物多様性の復活)
森を壊さないため、鳥や昆虫、野生動物たちがそのままその場所で暮らすことができます。WWF(世界自然保護基金)の報告によると、アグロフォレストリーの農場は、完全に自然な森と比較しても50〜80%もの高い生物多様性を維持できるとされています。インドネシアでは、消えゆくオランウータンの生息地(森の回廊)を復活させるために、このコーヒーの森林農法が一役買っています。
WWF|How coffee agroforestry is helping orangutan populations recover
2. 農家さんの暮らしと、食をカラフルにする
もしコーヒーやカカオの価格が世界的に暴落したり、気候変動による大雨や干ばつで不作になったりしても、アグロフォレストリーを営む農家さんには安心があります。一緒に植えているバナナやアボカドを食べて家族の食を満たしたり、それを市場で売って別の収入にしたりできるからです。国連食糧農業機関(FAO)も、この仕組みが途上国の農村の貧困を減らし、気候ショックに強い暮らしを作る(レジリエンスを高める)と太鼓判を押しています。
FAO|How agroforestry can help mountain coffee producers build resilience
3. 気候変動から地球を守る
たくさんの種類の木々が青々と茂るアグロフォレストリーの農場は、地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)を大量に吸収し、土壌や木の中にしっかりと閉じ込めてくれます。私たちが1杯のコーヒーを選ぶことが、地球の空気の浄化にダイレクトに繋がっているのです。
モノの背景にある「ストーリー」を味わう
MUU JAPANが皆さんに届けたいのは、単なるプロダクトとしての美しさだけではありません。そのモノが作られるプロセスに、どれほど地球への優しさや、人々の温かい営みが流れているかという「背景のストーリー」です。
「この製品は、緑豊かなジャングルのような、美しい森林の育成に貢献しているのかな」
そんな風に、遠くの森に思いを馳せてみてください。
私たちが「アグロフォレストリー」に役立つサステナブルなモノを心地よく選び、楽しむこと。
その小さなときめきが、今日も世界のどこかで新しい木を育て、豊かな森を守り続けています。
